聴く力を育てる――相手の本音に寄り添うためにできること

目次
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「聴く」とはどういうことなのか
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なぜ「聴く力」が大切なのか
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聴く力を高めるための基本姿勢
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実際に行っている改善方法とその工夫
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相手の気持ちに寄り添うために意識していること
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まとめ:聴くことで築く信頼とつながり
「聴く」とはどういうことなのか
「聞く」と「聴く」は似ているようで、実は大きく違います。「聞く」は音や言葉を耳にすることですが、「聴く」は意識を向けて、相手の話に心を傾けることです。つまり、「聴く」という行為には、集中力と共感、そして相手への敬意が必要です。グラスパーズの仕事では、インタビューやヒアリング、日々の会話など、多くの場面で「聴く力」が問われます。単に情報を得るだけでなく、相手が心の中で感じていることをどう受けとめるか――それが「聴く」ことの本質なのだと思います。
なぜ「聴く力」が大切なのか
私たちはつい、自分の意見を伝えることや、上手に話すことばかりに目を向けてしまいがちです。でも、相手の話をきちんと受けとめることができなければ、対話は成立しません。特に相手が言葉にしにくい気持ちや本音を抱えている場合、それに気づけるかどうかが関係性の質を左右します。聴く力がある人は、相手に「この人なら話せる」と感じさせる安心感を与えることができます。その安心感が、信頼へとつながっていくのです。
聴く力を高めるための基本姿勢
聴く力を伸ばすためには、いくつかの基本姿勢が必要です。まず一つは、「相手の言葉をさえぎらない」こと。途中で口をはさまないようにするだけで、相手は話しやすくなります。次に、「相手の言葉の裏にある意図や感情に意識を向ける」こと。言葉の内容だけでなく、表情や声のトーンなどにも注意を払うと、その人が本当に伝えたいことが見えてきます。そしてもう一つは、「評価や結論を急がない」こと。話を最後まで聴ききる姿勢が、相手の信頼を生みます。
実際に行っている改善方法とその工夫
私自身、日々の業務や人との関わりの中で、少しずつ「聴く力」を磨く工夫をしています。具体的には、次のような取り組みがあります。
①メモを取らずに“その場”に集中する時間をつくる
インタビュー中などは、つい記録を優先してしまいがちですが、メモをいったん手放して、目の前の相手の表情や間の取り方に集中する時間を設けています。
②オウム返しではなく、自分の言葉で“受け返す”
「〇〇ってことですか?」と確認することで、相手も「ちゃんと伝わった」と安心してくれます。単に繰り返すのではなく、自分の解釈を入れることで、対話が深まりやすくなります。
③沈黙を恐れず、間を取る
すぐに返事をしないことで、相手がさらに深く話すことがあります。沈黙は、次の言葉を引き出す大事な間だと捉えるようにしています。
これらを意識することで、相手の話がより立体的に感じられるようになり、表面的な言葉ではなく「その人の本心」に少しずつ近づける実感があります。
相手の気持ちに寄り添うために意識していること
聴く力の根底には、「この人の気持ちを理解したい」という思いがあります。その思いを行動で示すには、まず相手の立場に立って想像してみることが大切です。「今、どんな気持ちでこの話をしているのかな」「どうしてこんな言い方をしたのかな」――そうやって想像力を働かせることで、自然と表情や声のトーンもやわらかくなり、空気がほぐれていきます。また、「わかります」「そうですよね」といった共感の言葉を添えることも、相手にとっては心強いものです。言葉に出すことで、「あなたのことを理解しようとしています」という姿勢が伝わります。
まとめ:聴くことで築く信頼とつながり
聴く力とは、情報を集めるための技術ではなく、相手の気持ちを受けとめるための“あり方”です。一つひとつの言葉に耳を傾け、そこに込められた思いや背景に目を向けることで、対話はぐっと深くなります。私たちグラスパーズのように、人と向き合う仕事をしているからこそ、この「聴く力」は何よりも大切な基盤です。完璧にできる日はありませんが、毎日の対話の中で少しずつ育てていく――そんな気持ちで、これからも相手に寄り添う姿勢を大切にしていきたいと思います。