自社らしさを見つける方法――ブランドの軸を掘り下げるための視点

目次
企業の「らしさ」が求められる時代背景
「自社らしさ」とは何かを明確にする
引き出すための3つの視点
社内外の声を活かす方法
言語化と可視化で軸を固める
らしさは育て続けるもの
企業の「らしさ」が求められる時代背景
近年、どの業界でも競合が増え、製品やサービスの機能的な差別化が難しくなっています。SNSや口コミによって企業姿勢が可視化される今、「この会社だから頼みたい」と思ってもらえる信頼の土台がますます重要になっています。単に安い・便利だけで選ばれる時代は終わり、「らしさ」や「想い」が選ばれる時代へと移行しているのです。ここでいう「らしさ」は、企業のDNAとも言えるものであり、顧客やパートナーとの関係性を築くうえで欠かせないアイデンティティです。
「自社らしさ」とは何かを明確にする
「自社らしさ」とは、他社と違う特徴や強みだけでなく、「どういう想いで仕事をしているのか」「誰に何を届けたいのか」といった価値観や姿勢も含まれます。例えば同じ飲食業でも、「家族の団らんを支えたい」という想いと、「一人の贅沢な時間を提供したい」という考えでは、届けるサービスや言葉遣い、店舗設計までもが変わります。自社のらしさは、商品や言葉ににじみ出ている小さな選択や判断の積み重ねの中に潜んでいます。
引き出すための3つの視点
自社らしさを見つけ出すためには、次の3つの視点が有効です。
1.創業ストーリーを掘る
創業時にどんな課題意識を持っていたのか、なぜこの事業を始めたのか。創業者の想いには、会社の原点が必ずあります。そこには使命感や世界観といった「芯」が眠っています。
2.日々の意思決定を振り返る
採用や商品開発、顧客対応などの判断において、「うちはこうする」と無意識に下している選択の背景には、らしさを支える価値基準があります。自分たちが「譲れない」と感じることは何か、整理してみましょう。
3.お客様や社外からの印象を確認する
「御社は〇〇な会社ですよね」と言われた経験はないでしょうか。第三者の視点は、自分たちでは気づきにくい本質を映し出します。顧客アンケートやSNSの声も、ヒントの宝庫です。
社内外の声を活かす方法
「らしさ」はトップダウンだけで決まるものではありません。現場の社員が何を大切にして働いているのか、その声を拾い上げることで、リアルで立体的な企業像が見えてきます。社内ワークショップや雑談の中で、「うちらしさって何?」をテーマに語り合う機会をつくるのも効果的です。また、長年の顧客にヒアリングをして「選び続けている理由」を聞くことで、自分たちが届けている価値の正体が浮かび上がることもあります。
言語化と可視化で軸を固める
引き出した「らしさ」は、社内外に共有するためにも言語化が不可欠です。「3つのキーワード」や「ブランドフィロソフィー」としてまとめると、全社員が意思統一しやすくなります。また、社内報や採用パンフレット、HPなどでビジュアルやストーリーとして発信することで、顧客や取引先との接点で「らしさ」が一貫して伝わるようになります。言語化の際は、美辞麗句にしすぎず、現場感のあるリアルな言葉で表現することが重要です。
らしさは育て続けるもの
自社らしさは、見つけたら終わりではなく、時代や人の変化とともに磨かれ、育っていくものです。最初の「原点」は変えずに、新しい仲間や経験を通じて表現の幅が広がることもあります。定期的に見直す時間を設けることで、ぶれずに強くしなやかな軸を持ち続けることができます。
まとめ
「自社らしさ」とは、他と比べた「差」ではなく、自分たちが何を信じて、どうありたいかを示す「軸」です。それを見つけるには、過去を掘り、現在の判断を見つめ、外の声に耳を澄ますことが鍵となります。ブランディングや採用、営業の場面でも大きな力を発揮する「らしさ」を、ぜひ時間をかけて育ててみてください。