2025.06.25 デザインの話

2025年、70’s・80’sレトロデザインが再燃中！現代に融合する懐かしのグラフィックスタイル

70’s・80’sレトロデザインとは何か

1970〜80年代のレトロデザインは、ヴィンテージポスターやパッケージ、看板などに見られる独特の色使いやレイアウト、フォント表現が特徴です。大きく丸みを帯びたタイポグラフィ、サイケデリックなグラデーション、ネオンカラー、そして幾何学模様などがその代表例です。これらの要素が、2025年現在、再びグラフィックデザインの現場で注目を集めています。単なるノスタルジーではなく、あえて「古さ」を主張する表現が、今の感性に新鮮なインパクトを与えているのです。

なぜ今レトロが再び注目されているのか

背景には、情報過多・同質化が進む現代において、「目を引く個性」が求められるようになったことがあります。AIやテンプレート的なデザインが広がる一方で、人の記憶や感情に触れるデザインの価値が見直されており、レトロデザインはその象徴的な存在となっています。Z世代にとっては「新鮮」であり、ミレニアル世代以上には「懐かしい」と映るため、広い世代にアプローチできるのも強みです。また、レコードやフィルムカメラといったアナログ文化の復権も、こうした潮流に拍車をかけています。

現代に蘇るレトロ要素の特徴

2025年におけるレトロデザインの最大の特徴は、「太く大胆なビジュアル」です。太い形状のパーツやアイコン、角の丸いフレームや厚みのある文字、そしてブロック状に整列されたレイアウトは、まさに70’s・80’sの象徴。こうしたデザインは「安定感」と「遊び心」を同時に伝え、ビジュアルに強い印象を残します。加えて、ヴィンテージな配色も鍵を握っています。たとえば、くすんだオレンジ、オリーブグリーン、ネイビー、アイボリーなどの組み合わせは、温かみと懐かしさを演出しながらも、現代の洗練されたデザインにもなじみます。

意図的なエッジと大胆さが鍵に

2025年のレトロデザインは、ただ過去をなぞるだけではありません。注目すべきは「意図的にエッジを効かせたデザイン」が多い点です。たとえば、あえて不均一な余白を残したり、左右非対称のレイアウトを用いたりと、従来の整然とした美しさから一歩踏み出した実験的な構成が目立ちます。これにより、「視覚的なひっかかり」を作り出し、見る人の記憶に残る強いデザインとなるのです。これはアートとデザインの境界をまたぐような表現ともいえ、ブランド表現の個性づくりにおいても大きな武器になります。

滑らかなアニメーションとの融合で進化

もう一つ、現代ならではのトレンドが「モーショングラフィックとの融合」です。レトロなビジュアル表現に、最新の滑らかなアニメーション技術を組み合わせることで、新旧のギャップから生まれる独特の魅力が生まれています。たとえば、70年代風のタイポグラフィがぬるりとフェードインし、80年代風のラインアートがスライドインするなど、紙媒体では表現できない動的なインパクトが可能になりました。この融合により、ブランドムービーや広告動画、Web UIにおいて「遊び心」と「先進性」を両立させた表現が広がっています。

レトロデザインを活かした表現と展望

企業ロゴ、広告、SNS投稿、パッケージデザインなど、多くの場面でレトロデザインは活用されています。特にD2Cブランドやアパレル、カフェ業態では、レトロなトーンでの世界観づくりがブランドの差別化に大きく寄与しています。また、レトロ表現は「人の記憶に残る」効果があるため、キャンペーンやプロモーションにも適しています。今後は、3DやARといった技術との組み合わせによって、より多層的で没入感あるレトロ表現が生まれることが予想されます。

まとめ

2025年のグラフィックデザインの潮流において、「レトロ」は単なる過去の再現ではなく、現代技術との融合による新たな表現の源泉となっています。太い形状やブロック状の構成、ヴィンテージな配色といった大胆なビジュアルは、見た目のインパクトだけでなく、時代を越えた魅力を宿します。意図的にエッジを効かせた構成、そして滑らかなアニメーションとの相乗効果は、これからのデザインにさらなる多様性と深みをもたらしていくでしょう。